「空の名前」

こんにちは!

本日の軽井沢の空は、どうやったらこんなに雲が作れてしまうの?!

と問いたくなるくらい雲だらけの空です。

 

最近、軽井沢の空を眺めていることが多い私ですが、

軽井沢にやってくる前はあまり空を眺める機会や時間に恵まれませんでした。

でも、そのまたはるか昔私が高校生だった頃、やはりいつも空を眺めている

ことが多かった時代がありました。

その頃に出会った本が、「空の名前」という本でした。

きっかけは、空の名前が知りたかったのではなく、ある日本屋さんで表紙が美しかった

この本が目に入り、ぺらぺらめくると、「花曇」というページがあったからです。

 

確か私が中学生くらいの頃、今は亡き祖父が一緒に乗っていた車の中で

「今日は花曇だな」

と言っていました。

「またまた作り話だな」

と、私はそれを祖父の造語だと疑いませんでした。

私が「花曇って?」と聞くと、

空を指差して、「こういう空だよ」とうれしそうな祖父・・・。

私の目からは、花の形でも何でもない薄曇りにしか見えず、

はいはい、わかりましたよ、という感じで話を終わらせました。

 

その作り話だと思っていた「花曇」がなんと、その本に載っているではありませんか!

私はとてもうれしくなり、本を買いました。

危うく、祖父をホラ吹きじいさんにするところでしたので、それに対する申し訳なさも

あったように思います(笑)

 

そこに載っていた「花曇」の写真は、まさに祖父が指差した空でした。

桜の花の咲くころの、ぼんやりと曇った空、というような説明が書いてあったと思います。

花の形をしている雲があるわけではなかったのです(笑)

「空の名前」には、様々な天気の空や雲や雨の説明が写真と一緒に載っていて

言わば空の図鑑のような本でした。

読んだ時、空にはこんなにもいろいろな名前があるんだ!とわくわくしました。

 

そして今日この本を思い出し、この本を作成した高橋健司さんという人を

インターネットで検索してみました。

そしたら、高橋さんが何故こういう本を出版するに至ったかが記されていました。

高橋さんはかつて天気に関わる気象予報士をされていて、その携わった仕事の中で

天気の解説をしていた際に役に立ったのが俳句歳時記、だそうです。

俳句の季語には風や雨の名前、季節の言葉が多くあり、高橋さんの表現の幅を

大きく広げてくれたそうです。

ただ、歳時記の多くは写真や挿絵が少なく、内容が想像できにくい季語も見受けられた

ため、それならば自分で季語を視覚化してみようと、自然写真を撮り始めたのだそうです。

そこでまとめられたのが「空の名前」ということです。

 

高橋さんは書いています。

「例えば芭蕉がある句を詠んだとき、目にした光景はこのようであったろうか、

と想像しながらシャッターを切ってきた」

私はその記事を読み、なんという想像力なんだろうかと、改めて感激しました。

そして、なんて素敵なことを思いついたのだろうと。

そんなことをやってのける高橋さんをうらやましく思いました。

想像力に加え、気象予報士としての知識もあったからこその偉業ですから、

並外れた感性をもってしても出来ないことですよね。

 

そして祖父に対しても、自ら「花曇」というものがどういうものかを想像し、

その空を意識的に眺めることができる文化人だったのかと、

今までの想いとはまた違った、畏敬にも似た感情が芽生えました。

 

近いうちに、改めてまたもう一度、この本に目を通してみようと思います。

みなさんもぜひ一度手にとってみてください。

「空の名前」

きっと毎日の空がいつもと違って見える1冊です。

 

6件のコメント

  1. マッチョ芭蕉 より:

    空の名前という本、表紙だけなら私も見た記憶があります。もしかしたら、ちらっと中を覗いたこともあるような気もします。

    私はお会いしたことがありませんが、「花曇り」なんて言葉をお孫さんにさらっと言うくらいですから、きっと風流な方だったのでしょうね。空を見ていると、遠い懐かしい思い出が蘇えってくるのかもしれません。

    • admin より:

      是非また見てみてください!
      祖父は、「おサルのジョージ」に似た風貌で、寡黙だったので、風流なイメージはとんとありませんが、そうですね、実はそんなところもあったのかもしれません。

  2. たかおっぱ より:

    昔に比べて四季の移り変わりが雑になったような氣がします。
    春と秋が短く夏が暑すぎて冬に大雪が降り、梅雨が長く季節外れの台風が来て等々。
    今後、季語の季節の入れ換えが必要になるものもあるかも知れません。
    歳時記を何冊か持っていますが、「空の名前」は初めて知りました。
    感性豊かなブログはこのような本をご覧になっているからこそ書けるのですね。
    自然を愛する心を何時までも持ち続けたいものです。
    これからはもう少し意識して空と雲を見てみます。

    • admin より:

      本当ですね、季節の移り変わりが「二季+二s季」です。
      失われる季語がありそうで心配ですが、これからも季節とともに素敵な季語が生まれることを前向きに期待したいです。
      たかおっぱさん、自分では感性が豊かとは思えませんがうれしいです、ありがとうございます☆

  3. 娘の将来が不安で夜も眠れないパパ より:

    空の本・・素敵じゃあないですか。私の娘はというと・・・今、骨の本に夢中で誕生日プレゼンントの希望は、なんと骨の図鑑・・・・どこまで骨が好きなんでしょうか?将来が心配で夜も眠れません。

    • admin より:

      面白いものに興味を持っている個性豊かなお嬢様ですね!
      将来はお医者さんでしょうか!?もしくは・・・発掘調査隊?とか?

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